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神経難病、鍵の細胞特定・・・「HAM」治療へ道

次第に歩けなくなるウイルス性の神経難病「HAM=ハム」の発病の鍵となる細胞を、聖マリアンナ医大難病治療研究センターの山野嘉久准教授らが特定し、米オンライン科学誌に発表した。
原因となるヒト細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の推定感染者は110万人で、その一部がHAMを発症する。九州・沖縄に多いとされてきたが、最近は全国に拡大しており、今回の研究結果が、治療法の開発につながることが期待される。
山野准教授らは、外敵から体を守るリンパ球の一つT細胞の中に、HTLV-1に感染しやすいT細胞があり、ウイルス感染で性質が一変。炎症を起こす物質「インターフェロンγ」を放出するようになり患者の脊髄を攻撃、HAMが発病することを突き止めた。
HAMは1986年、日本の研究者により発見された。歩行艱難、排尿障害、手足などの感覚障害などが起き、寝たきりになることもある。根治させる治療法はない。国内の患者数は約1500人。

(2009年8月15日 読売新聞より抜粋)

アリナミンで症状改善効果

「HTLV-1関連脊髄症(HAM)」と呼ばれる患者が本県に多いことはあまり知られていない。1994年の旧厚生省研究班の調査では、鹿児島県の324人に次いで本県は131人と2番目に多かった。98年の疫学調査で全国で1422人の患者が確認されたが、現在はさらに多いとみられる。HAMは、HTLV-1というウイルスで生じる脊髄(せきずい)の病気。厚生労働省は4月、難病に認定した。ウイルスの感染経路は母乳による母子感染が主で、ほかには性交渉や輸血など。 ただ、86年11月以降、日赤での献血者には抗体検査が実施され、陽性者の血液は輸血に使用されない。症状は、最初は足が突っ張るなどの軽い症状から始まり、徐々に両足がまひして歩行障害が起きる。また、ほとんどの患者が神経因性膀胱(ほうこう)による頻尿・残尿感や頑固な便秘症状を伴っている。発症のメカニズムは、HTLV-1に感染したリンパ球が脊髄に浸潤し、それを排除しようとする細胞障害性Tリンパ球とのしのぎ合いが起こる、これに伴って周囲の神経組織が破壊されるために生じる慢性脊髄炎が原因と考えられている。治療は、炎症を抑えるための副腎皮質ホルモン剤などの免疫調節療法、HAMの治療薬として唯一保険適用となっている、免疫調節作用と抗ウイルス作用を持つスミフェロン(インターフェロンα)療法が主流。しかし、これらの治療効果はいまだはっきりしない点もある。HAMは慢性に経過する病気なので長期にわたる治療が必要で、これらによって生じる副作用や高い医療費などさまざまな問題がある。長年苦しんでいる患者のため、早急に安全で安価な治療法の確立が望まれている。理論的にはHTLV-1に感染したリンパ球を体内から排除できれば、最も理想的な治療法となり得る。私たちの研究で、ビタミン剤「アリナミン」が非常に効率よくHTLV-1感染細胞を殺せることが分かった。6人の患者に2週間投与したところ、末梢(まっしょう)血中のHTLV-1のウイルス量を元の量の30-50%にまで減少させるなど、症例で程度の差はあるが、臨床症状の改善が得られた。わずか2週間でこれだけの効果が得られたことで、HTLV-1を標的とした治療法に少し光が見えてきたと思う。アリナミンは安全性に優れた薬剤で長期投与が可能。以前は錠剤が製造販売されたいたが、今は注射薬しかない。現在市販されているアリナミンシリーズの錠剤やドリンク剤とは異なるので注意してほしい。HAMに対しては長期にわたる治療が必要なので、1日も早いアリナミン経口薬の再生産が強く望まれている。

長崎新聞 特別寄稿より抜粋 長崎大大学院医歯薬学総合研究科准教授 中村 龍文

 

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